中国国家知的財産権局(CNIPA)の新「特許優先審査管理弁法」(局令第85号)は2026年9月1日に正式施行され、2017年施行の局令第76号は廃止される。新弁法は、優先審査が「数量重視」から「質重視」へと全面的に転換し、「厳格な准入と管理、価値本位」という新たな段階に正式に入ったことを示している。本稿では、出願人や代理機関が最も関心を持つ十大変化を整理する。
付録:新旧規定の核心的変化一覧
| 項目 | 旧規定(局令第76号) | 新規定(局令第85号) |
|---|---|---|
| 出願要件 | 具体的な産業を列挙(省エネ・環境保護、情報技術など) | 「イノベーション価値+事業化・活用の見通し」を前提とし、「新興・未来産業」を概括的に規定 |
| 出願窓口 | 実体審査段階にあれば可 | 実体審査段階にあり、かつ最初の処分が行われていないこと |
| 外国関連の要件 | 外国に「出願」を行う | 外国に「実体審査の請求」を行う |
| 優先審査の対象外 | 明確なリストなし | 4類のネガティブリスト(分割出願/同日二重出願/既に加速済み/見通しのない外国関連) |
| 応答期限 | 延長可能 | 発明1か月、実用新案/意匠15日、いずれも延長不可 |
| 審査期間 | 比較的緩和 | 発明は45日で初回通知/1年で結審;審判7か月;無効5/4か月 |
| 出願方式 | 紙出願も可 | 電子出願が必須 |
一、どの案件が優先審査の対象となるか?
新弁法によれば、以下の出願は優先審査を請求できる。
- 実体審査段階にあり、かつ最初の処分が行われていない発明特許出願(「最初の処分」とは、審査官が審査を開始し通知書を発送したことをいう);
- 実用新案および意匠登録出願;
- 発明、実用新案、意匠の審判(不服審判)案件;
- 発明、実用新案、意匠の無効審判案件。
二、十大重点変化
1. 出願要件の質的変化:「産業の列挙」から「イノベーション価値+事業化の見通し」へ
第5条は、特許出願および審判案件が、「重要なイノベーション価値」と「事業化・活用の見通し」を同時に備え、かつ以下のいずれかの事由に該当することを求める。
- 新興・未来産業に関わる、または重要中核技術の突破に関わる;
- 省級/設区市級の人民政府が重点的に奨励する産業に関わる;
- 既に実施済みまたは事業化の準備が整っている、あるいは他人が実施している証拠がある;
- 同一の主題について中国に最初に出願した後、さらに他国/地域に実体審査の請求を行う;
- 国家の利益または公共利益にとって重大な意義がある。
⚠️ 重要な変化:旧版は具体的な産業(省エネ・環境保護、情報技術など)を列挙していたが、新版は概括的な「新興・未来産業」とし、さらに「イノベーション価値と事業化・活用の見通し」を前提要件として新設した。
💡 企業への影響:既存の技術開示書には「イノベーション価値+事業化の見通し」の証拠の鎖を補完する必要があり、単なる数量重視の出願は優先審査の対象にならない。
2. 「原則として優先審査を行わない」4類のネガティブリスト(第8条)
新弁法は初めてネガティブリストを明確にし、制度の抜け穴を塞ぐ。
- 分割出願であって、原始出願が既に加速審査を認められているもの――「分割の重複優先審査」を塞ぐ;
- 同一日に発明+実用新案を出願したもの(「一案双申」)――「二重出願の抜け穴」を塞ぐ;
- 既に他の形態の加速審査を受けているもの――重複請求は不可;
- 外国関連出願で明らかに権利化の見通しがないもの――外国関連の推薦不要ルートに対する質のハードル。
💡 企業への影響:分割出願、「一案双申」、既に他の加速ルートを利用したものは、優先審査の枠を無駄にしないこと。
3. 応答期限の大幅な短縮(第16条)
- 発明特許の拒絶理由通知への応答:1か月;
- 実用新案/意匠の応答:15日;
⚠️ 応答期限の延長はいかなる場合も認められない。期限を超過すると優先審査は打ち切られ、通常の手続に移行する。
💡 企業への影響:拒絶理由通知への応答はわずか1か月(実用新案/意匠は15日)で延長不可。あらかじめ応答原稿を準備しておかなければならず、期限超過は通常手続への逆戻りとなり、これまでの努力が水の泡となる。
4. 優先審査開始後の自発的修正の制限(第17条)
中国国家知的財産権局が「優先審査の実施通知書」を発送した後、出願人は特許法実施細則第57条に基づき、出願書類に対する自発的修正を行うことはできない。
💡 企業への影響:優先審査通知書を受け取った後は請求の範囲を勝手に変更できないため、出願書類の確定はより慎重に行う必要がある。
5. 不誠実行為による1年間の排除(第22条)
誠実の原則に違反する行為のある優先審査請求人または特許代理機関に対しては、認定の日から1年間、中国国家知的財産権局はその提出する優先審査の請求を受け付けない。
💡 企業への影響:書類の偽造/規定違反は1年間の排除となる。代理機関は誠実性の確認をより厳格に行う必要がある。
6. 実体審査段階の出願窓口の厳格化(第4条)
旧版は「実体審査段階にある」ことで出願可としていたが、新版は「実体審査段階にあり、かつ最初の処分が行われていないこと」を求める。すなわち、審査官が審査を開始し通知書を発送していないことをいう。
💡 企業への影響:実体審査で初回通知が発送されると優先審査は請求できない。早めに加速を図りたい場合は速やかに行うこと。
7. PCT/外国関連出願の要件の変化(第5条第4号)
旧版は外国に「出願」を行うだけでよかったが、新版は外国に「実体審査の請求」を行う必要がある。PCT案件の時間的窓は後倒しとなり、外国出願が実体審査段階に入るのを待つ必要がある。
💡 企業への影響:外国関連の優先審査には外国側の実体審査への進入が必要となり、PCTの各国段階の配置は事前に計画する必要がある。
8. 無効審判案件の優先審査範囲の拡大(第6条)
従来の2つの事由から4つに拡大:
- 対象特許に侵害紛争が生じ、当事者が地方知的財産権局に処理を請求した、または人民法院に訴訟を提起した;
- 追加:重大な特許侵害紛争の行政裁定/調停、医薬品特許紛争の早期解決メカニズムに基づく行政裁定、特許オープンライセンス紛争の調停に関わる;
- 追加:対象特許に実施許諾契約紛争が生じ、当事者が仲裁機関に仲裁を請求した;
- 国家の利益または公共利益にとって重大な意義がある。
💡 企業への影響:侵害/許諾紛争にかかる無効案件も優先審査の対象となり、権利行使のペースを速めることができる。
9. 新しい審査期限の規定(第15条)
- 発明特許出願:45日以内に初回処分、1年以内に結審;
- 実用新案/意匠:2か月以内に結審;
- 審判案件:7か月以内に結審;
- 発明/実用新案の無効審判:5か月以内に結審;
- 意匠の無効審判:4か月以内に結審。
💡 企業への影響:発明の優先審査は1年以内に結審し、権利確定/権利行使の全体サイクルがより予見可能になる。
10. 電子出願が必須要件に(第10条)
優先審査を請求する特許出願または案件は、要件に合致する電子出願の方式を採用しなければならず、紙出願では優先審査の請求ができない。
💡 企業への影響:紙出願は優先審査の資格を直接失うため、必ず電子出願を利用すること。
三、よくある質問(FAQ)
新しい優先審査管理弁法はいつ施行されるか?
2026年9月1日に施行され、同時に2017年の局令第76号が廃止される。
どの出願が原則として優先審査の対象外となるか?
分割出願(原始出願が既に加速済み)、同一日の発明・実用新案の二重出願、既に他の形態の加速審査を受けているもの、および明らかに権利化の見通しがない外国関連出願は、原則として優先審査の対象外となる。
優先審査における発明特許の応答期限はどのくらいか?
発明特許は1か月、実用新案および意匠は15日で、いずれも延長不可。期限を超過すると優先審査は打ち切られ、通常の手続に移行する。
優先審査の審査期間はおおよそどのくらいか?
発明は45日以内に初回処分、1年以内に結審。実用新案/意匠は2か月以内に結審。審判は7か月以内に結審。無効審判は発明/実用新案が5か月、意匠が4か月で結審。
紙出願で優先審査を請求できるか?
できない。優先審査を請求するには、要件に合致する電子出願の方式を採用しなければならない。
四、出願人への提言
新弁法の下では、優先審査はイノベーションの質と事業化の見通しをより重視する。請求を提出する前に、「イノベーション価値+事業化・活用の見通し」の証明資料(実施の証拠、政府の重点産業の証明、海外の実体審査請求など)を十分に準備することを推奨する。
知海易達は、優先審査の実現可能性の評価、請求資料の整理、審査進捗の追跡を支援できる。本稿は公式公表内容に基づき整理したものであり、詳細は中国国家知的財産権局の最新規定による。
